CoNETS(コネッツ)について

インタビュー・活用事例のご紹介

03. 山内 豊先生 東京国際大学教授
英語教育学・応用言語学・教育工学。コロンビア大学大学院修士課程修了。文部科学省審議会委員、NHK番組企画委員などを歴任。『インターネットを活用した英語授業』、『英語語彙習得論』、『電子辞書活用ハンドブック(カシオ)』他著書多数。

東京国際大学教授で、文部科学省「デジタル教科書」の位置付けに関する検討会議委員の山内豊教授に、デジタル教科書のこれからについてお話を伺いました。

―― 次期学習指導要領でアクティブ・ラーニングを取り入れた授業が始まりますが、デジタル教科書はその際にどのような活用がされるとお考えですか?
山内 豊先生:デジタル教科書は映像や音声、動画などを組み込めますので、社会科では関連動画を見せたり、教科書に関連した情報にジャンプすることで、調べ学習をして発表させたりすることができます。 また、タブレットがありますと持ち運びが容易ですので、手軽に教室内でのグループ学習や、外に出て調べたり、実際に撮った画像や書き込んだメモを共有したりできますし、それらを電子黒板に送って教員がそれをまとめたりできます。
アクティブ・ラーニング導入によるデジタル教科書の活用としては、仲間同士で評価をさせ、それをタブレットに入力して送信、内容を集計して電子黒板に映したり、児童生徒の発表の様子をビデオに録画し、それを見て、「どうすれば発表がよりよくなるのかな」と自分たちで考えさせたりする事ができるなど、多くの場面が考えられます。

いままでは教師からの一方通行だった授業が、デジタル教科書があることにより、学習者の中でいろいろな試行錯誤ができるようになります。そうすると文部科学省が目指す、自分で課題を設定して解決していく「主体的で深く対話的な学び」ができるようになり、知識だけでなく思考力や判断力を伴う「生きる力」を身につけていくことになります。

―― これからのデジタル教科書にどのようなコンテンツが必要だと思いますか?
山内 豊先生:児童や生徒たちが学んでいく中で、音声や画像など本物に近いものに接することができると、それを基に子供たちの感性を高めたり、考えたり、探究の意欲を育成できるようになります。そうした学びの起点になるようなコンテンツが入っているとよいですね。
英語で考えてみると、教科書に掲載されているそれぞれのシーンに応じて、イギリス英語、アメリカ英語、オーストラリアの英語など世界諸英語の音声を聞くことができれば、その違いを子供たち自らが気づき、面白く感じて、国や地域による英語の発音差についていろいろ調べてみるとか、自分たちのALTはどのような英語を話しているかなどを意識できるようになると思います。
―― CoNETSについてはどのような期待をお持ちですか?
山内 豊先生:コンテンツは各教科書会社が提供し、ビューワーの部分はみんなで集まって共通のプラットフォームを提供していくというプロジェクトは非常に意味のあるものだと思います。
各教科書会社が独自でやると、費用が膨大にかかり、教科書を出している全社がデジタル教科書を出すことができないと、教科書の切磋琢磨が進みません。
今後は、どんなデジタル教科書を提供しているかどうかが、紙版の教科書の選択に大きな影響を及ぼす可能性もあります。そういう意味でプラットフォームを共通にすることによって デジタル教科書製作のハードルを下げる取り組みは、とても有意義であると思います。
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